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84 2009年2月15日

オーディオ熱(6):デジタルデータ保存の危うさ

 




iTunesの話をしたときに、絶対書かなくちゃいけないんだけど、とは思っていたものの、書かなかったこと。それは

デジタルデータの保存の危うさ

です。

いつでも聴けるはずのデータがいつしか再生不能・・・。


これまで、私が使ったことのあるデジタル記憶媒体は:

フロッピィディスク
ハードディスク
MOディスク
CD-R
DVD−R
USBメモリー

ですが、これらの記録媒体で、読み出し不能にならなかったメディアはひとつとして存在しません

これは大丈夫かもと思っていたUSBメモリーも、USBメモリーが読み書き状態に、ノートパソコンのディスプレイ部分に手が触って閉じかけてサスペンド状態になりました。たぶんその急な電源カットが原因なんでしょう。USBメモリーもご昇天。

デジタルデータのよさとして、写真は色あせるが、デジタルデータは永久に色あせない、という経年劣化のなさがあります。

しかしデジカメのデータを保存したCD-Rは、読み出し不能になることがあります。

写真はいくら色あせても、焼失・紛失しないかぎり見えます。しかしCD-Rにデジタルデータとして保存された写真は、ちゃんとそのCD-Rが無傷で保存してあっても、ある日パソコンに入れたら読み出せない可能性が否定できません。

10年前のCD-R、特に音楽CD-Rはかなりの確率で再生できなかったり、猛烈なノイズが入ります。
音楽CDでさえ、傷がないのに再生不能になったのが一枚あります。
レコードもいつのまにか反ってしまって、針が飛ぶという現象が起こりえますが、それは反るような雑な保存方法をとったためです。
特に問題ない保存をしていても、失われる可能性がある、それがデジタルデータです。

iTunesで楽曲管理をすれば、とっても便利で、音もCDと遜色ない音できける、が、いつ何時ハードディスクはクラッシュするかもしれず、バックアップをとっておいてもいつ何時読み出し不能になるやら知れず・・・・・。

コンパクトディスクも、いつなんどき読み出し不能の恐怖からは逃れられません。参考までに、Wikiのコンパクトディスクの項目から長々と引用しておきます。



コンパクトディスク (CD) の寿命


CDの寿命としては、蒸着した反射膜の寿命、基板となるポリカーボネートの寿命、そして、CD-Rの場合には色素の寿命の観点がある。全般として直射日光や高温・多湿を嫌う。

スパッタリングした反射膜

現在、スパッタリング法によってアルミニウムの反射膜を形成する方法が主流となっているが、アルミニウムを用いるCDは、環境にも依るが20 - 30年が限度と見積られており、現在長期的な保存を可能とした製品の開発が急務となっている。その一方で、メーカー側などでは80年前後保存が可能とする主張もある[2]。なお、反射膜に金を用いた場合、100年前後保存が可能と見積られているがコストの問題など解決しなければならない課題がある。安価なものは、印刷・反射層が端からはがれてきたり、水分が反射膜に浸透してアルミニウムが錆びてしまい反射の機能を失うなど短寿命のものが多い。

色素

CD-Rでは記録面に真夏の昼間の日差しを当て続けると、色素が変化し読み込めなくなったり、質の悪い媒体の場合には蛍光灯に含まれる紫外線で変化するものもある。また、高温・多湿の環境に置くと、ごく短時間でも印刷・反射層が端からはがれてくる事がある。

 基板

現在のディスクに用いられるポリカーボネートは湿気に遇うと加水分解する欠点があり、徐々に白濁していく。これにより情報を読み取るレーザーが通らなくなり、情報を読めなくなる。ディスクの寿命としては前述の反射膜や色素の寿命が良く取りざたされるが、環境によってはポリカーボネートの透明度で寿命が定まることに留意が必要である。

尚、この欠点を積極的に活かし、開封後数週間程度で白濁する様に製造された媒体もある。これにより、音楽や映像のソフトウェアを再生できる日数を制限する。

温度や湿度変化の影響が比較的少ないガラス製のCDが開発・発売され、保存性の改善が期待されている。2008年には液晶パネル用のポリカーボネートを使用したスーパー・ハイ・マテリアルCD(SHM-CD)とハイ・クオリティCD(HQCD)が開発・発売されている。



レコードは意外と優れた保存媒体ですね。聴けば聴くほど溝が磨耗するが、それでも聴けます。CDはいつの世にかすべて再生不能。技術って高度になるほど刹那的になるんかいな?

ということで、メーカーサイドは、このデジタルデータの危うさについては言及しませんが、私としては、iTunesをお勧めする以上は必ず言及しておかなければいけない事だと思います、です。


 ♪





さて、100%安全にデジタルデータを保存しようとすると・・・・。

80〜90%ぐらいなら簡単です。CD-R、DVD-Rに保存すれば、それだけでたぶん10年程度は大丈夫です。

100%に近づけたければ、バックアップのCD-Rを2枚にします。その時、メーカーを変えます。
同じメーカーの同じ製品なら同じ条件で駄目になる確率が高いでしょう。ということは1枚が駄目ならもう1枚も駄目な確率が高い、はずです。
それでメーカー(製品)を変えて2種類でバックアップをとります。これで2枚同時に読み出し不能になる確率はとても低くなるはずですから、あとは1枚が読み出し不能になると、もう一枚のバックアップを取る。これを続ければ100%が可能。

と理屈ではそうなりますが、保存したバックアップ、実際はそれほど再生しない、と思います。それで結局、「再生可能かどうかのチェック」を省略して、数年おきに念のためのバックアップをつづけるということに・・・・・。その「数年おき」が2年おきなら99%、5年おきなら98%、10年おきなら95%などと、このパーセントはまったくの想像なので信用しないよう〜に。

けど、面倒ですよね〜。

 

 ♪




私がダウンロードで音楽を購入しない理由の一つがこのデジタルデータ保存のあやうさです。

CDの形で購入すればそのCDそのものが「バックアップ」として機能します。市販の音楽CDさえ危ういことは危ういですが、ダウンロードしたファイルをDVD-Rなどにバックアップするよりはるかに安全です。また、CDからリッピングするほうが、ダウンロードしたファイルをバックアップするより、手間もかかりません。

CDがよほど高価なマニア受け流通形態にならない限りCDで買うつもりです。まあ、そうなる前にCDでは手に入らなくてダウンロード販売でしか入手できなくなるかもしれませんが。もし、そのときでも、DRM(デジタル著作権管理)が幅を利かせてバックアップの制限のきついものなら・・・・これまでのコレクションを聴いて余生を過ごしましょう。(Onkyoの高音質配信、パソコン初心者でクラッシュ経験のない人しか飛びつかないと思うがなあ)




 

 ♪   ♪   ♪



私のデジタルデータ保存法は:




こいつらです。NASといいます。

NASとはNetwork Attached Storageの略で、「ネットワークに加えて使う保存媒体」ぐらいでしょうか。

こいつもコンピューター。ネットワーク接続とファイル管理ぐらいに機能限定したコンピュータです。OSは普通Linuxが使われていて腕に覚えのある人はそれなりに楽しめるようです。(ファイルサーバーと呼ばれることもあるが、ファイルサーバーに特化したコンピューターがNAS。)


さて、なぜにこれが私のデジタルデータ保存方法として採用されたかというと、NASの中にはRAID機能を持つものがあり、そのRAID機能を使うのです。


 

 ♪





RAIDとは、Redundant Arrays of Inexpensive Disksの略で、「高価ではないディスクを冗長性を持たせて配列したもの」ぐらいの意味です。

ハードディスクが安いか高いかは意見の分かれるところではあろうが、cheap「安い」とは言わずにinexpensive「高価ではない」。割高のメディアにくらべると「高価ではない」、というわけである。

で、RAIDと言っても色々ある。RAID0, RAID1, RAID2・・・RAID6まであるそうであるが、例えばRAID2という方式は、同じ容量のハードディスクを2台使い、その2つに同じデータを書き込む仕組みである。同じデータを書き込むのだから、片方のハードディスククラッシュしてももう一つのハードディスクがしっかりデータを保持している。故障したハードディスクを新品に交換すれば無事復旧する、という仕組みである。

「冗長性」とは「無駄をもたせて」ぐらいに理解していただければいいと思う。同じデータを2台に書き込むのだから「無駄」である。しかしこの「無駄」のおかげでデータの無事が担保されるわけである。
ただし、これでは1テラの容量でも、その半分の500ギガしか使えない。もうちょっと使いたい。ということで、わたしはRAID5を使っています。

RAID5は4台の同容量のハードディスクを使い、利口な人が考えた方法で(データから誤り訂正符号を作成し、元データとともに)4台のHDに分散して書き込む。すると、4台のうち1台のHDが壊れても、そのHDを交換すれば復旧する。(2台以上同時に壊れたらアウト)この方法だと総ディスク容量の4分の3が使用可能です。

別にRAIDはNAS専用というわけでもなく、マザーボードの中にははじめからRAIDをサポートしているのもありますし、RAID用の拡張ボードもあります。
が、しかし、RAID5にしようとすると4台ハードディスクが必要です。4台のハードディスクを入れるにはパソコンのケースもそれなりのでかさになりますし、電源もそれなりの容量が必要かと。

ということで


右のBuffaloが初代。HDを換装して1テラにしたもので、デジカメデータとかVHSやβで録画したものをmpegに変換したファイルを保存してます。左のI/Oデータのものが2代目で、これはiTunesの音楽ファイル専用にしてます。これも1テラ。
どちらもRAID5で運用しています。使用可能な容量は1テラの4分の3です。これで、もし4台あるHDのうち1台が壊れたら、HDを交換して復旧。ということです。


不幸にして2台のHDが同時に壊れたら・・・・・そのときは諦めます。C'est la vie. 

何年かおきにCD-R,DVD-Rのバックアップをさらにバックアップしつづけるって・・・面倒。
それに、何枚ものバックアップから自分が欲しいデータを探すのも面倒です。NASに放り込めば検索するのも(比較的)簡単。
2台のHDが同時に壊れることも皆無ではないでしょうが、私が明日道を歩いていて車にはねられて即死する確率とどちらが大きいものか?

Que sera, sera. Whatever will be will be. The future's not ours to see. Que sera, sera. What will be will be.



 ♪   ♪   ♪





実際にどう運用しているかというと:


  NASは結構うるさいです(電源ファンの音)。iTunesのデータサーバとして使う場合には、設置場所注意です。別室・押入れ・天井裏とかがお勧めです。うちでは、「仕事場」にあります。



下左に光ファイバーが入り、下右が、ブロードバンドルーターです。





スイッチングハブはGiga対応のものです。ルーターは経路を指定するだけですから、通常のものでも、スイッチングハブがGigaに対応していればGigaLanが構築できます。
(私のケーブルはGiga対応じゃないのでGigaのスピードは出てないかもしれませんが)

仕事場から、Lanケーブルが壁を突きぬけ、庇を伝い、母屋の天井裏に入りこみます。そこでまたスイッチングハブ経由で母屋の3部屋の壁にLANのジャックに達する、という形態です。


さて、仕事が終り、音楽を聴きたい日には、黒いやつ、Landiskの電源を入れ、仕事場を去ります。


「くつろぎルーム」にあるパソコンでiTunesを立ち上げ、ミュージック、スタート!


音楽データが入っているNASとiTunesの入っているパソコンは直線距離で10m、Lanケーブル総延長で20mぐらいでしょうか?途中に3つのスイッチングハブを経由しておりますな。

さて、iTunesを終了し、NASの電源を切るには、まずブラウザを立ち上げLandiskの設定画面を出します。

うちでは、下のように192.168.0.50のプライベート・アドレスを振っています。






ログイン後、「メニュー」→「システム」→「シャットダウン」とたどります





これで電源が切れます。便利でしょ。


(現在はどうか不明ですが、I/OデータのNASはBuffaloのNASに比べてブラウザの反応速度が遅くていらいらします。3台目はBuffalo買おうかな)
(NASによっては、Lan上のパソコンの電源がオンになれば自動的に電源オンになる機能を持つものもあるようです。)


ちなみに





これぐらい使ってます。もうちょっとぱんぱんになったら今度は2テラか4テラ程度のNAS買おうかと思っています。(NASもどんどん安くなっていきますな)






全1901アルバム38,191曲でこのサイズ。CD1900枚はかなりの場所を占有します。棚全段天井まで積み上げぐらいでしょうか? それがこのちっちゃな黒い箱の中。驚異的です。





 ♪   ♪   ♪







iTunesを使うときに必ずNASの電源を入れるのは不便ですので、私はiTunesライブラリを複数作成しています。




iTunesを起動するときにShift(MacではOption)キーを押えておくと:




この画面になりますんで「ライブラリを作成」をクリックして、「iTunes LT」というNAS用のライブラリを作りました。


 


 


「設定」の「詳細」のとこで「iTunes Musicフォルダの場所」で設定します。下みたいにドライブのルートも設定できます。


 



どうiTunesのライブラリを使い分けているかというと、CDを新規購入したときは、とりあえずPCのライブラリにデータを取り込み、曲名などのデータをチェック・訂正・追記します。ジャンルは自分用に自由に作成できます。「歌謡曲」とか「British Folk」とか「calypso」とか煩雑にならない程度でどんどん自分の分類法にあったジャンル名を作りましょう。
また私は「作曲者」のところに「作詞者/作曲者/編曲者」などとデータを書き込んでいます。

自動取得されるデータには誤りも結構多いです。


なお、「コンピレーション」という用語はiTunes独特なので、注意が必要です。

iTunesは、「iTuns Music フォルダ」の下に、アーチスト名のフォルダを作成し、その中にアルバム名のフォルダを作成し、その中に音楽ファイルを入れます。

普通「コンピレーション」は「編集盤」ぐらいの意味です。ですが、iTunesの場合、「コンピレーションCD」にチェックを入れると、(アーチスト名と同じレベルにある)「コンピレーション」というフォルダの中にアルバム名のフォルダを作成しその中に入れます。




ですから、上のような場合は



一番下の「The 1930's Recording - ....」に音楽データがはいります。

ということで、複数のアーチストの編集盤はコンピレーション。同一アーティストの編集盤は「コンピレーションCD」のチェックは外すのがお勧めです。



話が脱線しましたが、パソコンを使っていて、ちょっと音楽を聴きたいときには、そのパソコン内の「iTunesライブラリ」を聴いて、音楽を聴きたいときには、NASの電源を入れて、iTunesのライブラリをNASのライブラリに変えて使ってます。

パソコンに取り込んだ音楽ファイルをNASにコピーし、iTunesの「ファイル」→「フォルダをライブラリに追加」(Windows版)から、新しくNASに追加したフォルダを指定しています。

ま、こんな感じでiTunesを運用しておりますです。


次回はオーディオ熱シリーズの最終回、今流行り(そうな気配)のDLNA、LinnのDSなどのネットワークオーディオのお話などを予定しております(がどうなるかな〜) 


   


 

 

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