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79 2009年1月11日

オーディオ熱(1):再発



あれはもう2年以上前のことであろうか。本屋に立ち寄った私はふと思いついて、雑誌コーナーへ向かった。
そろそろ岡山にも地上デジタルの放送が始まるということで、薄型テレビの情報でも手に入れようと思ったのであった。
結局購入したのは、上の画像、AV機器のガイドブックであった。

パラパラとめくるうちに、なぜか熱心に読むのはオーディオだったりして・・・・それにしても、10年以上オーディオと離れていますと何か浦島太郎状態でしたな。

いつのまにやら、デンオンはデノンになっているし、サンスイ、ナカミチは廃業してるし。トリオはケンウッドに改名したのは知ってましたが。知らん名前のメーカー多いし。

それになんか高価・・・。




上の雑誌の表紙中央を飾っている、ラックスマン創業80周年記念モノーラルパワーアンプB-1000fです。

お値段は¥1,890,000(税込み)。

いや、あの、これモノラルだからステレオにするには×2で¥3,780,000

でもって、これとお揃いのプリアンプのお値段が、¥2,100,000。それを足すと

588万円也


 

 ♪   ♪   ♪




けどまあ、これはとっても「常識的なお値段」でした。

「ハイエンド」っていう言葉に出会いました。「高い極み」ですか?ね。

まあ、お値段的に最高級品ってわけですな。

ハイエンドはこんなもんじゃない、ってラックスマンのも十分ハイエンドですが、上には上が・・・・・。

ネットで情報を集めていると、何でもあのビル・ゲイツのステレオは7000万円だとか・・・。


いや、あの13年にわたって世界長者番付のトップに君臨したあのビル・ゲイツですから、地球一の大金持ち(の一人)ですから、自分のステレオに1億かけても10億かけても別にかまわんのですが、ですが、ですよ。

7千万円って、工業製品として存在するんだろうか?って思いません?

上でみたラックスのフラグシップモデル588万にプレーヤーやスピーカー足して、1000万は楽にこえるでしょう。3000万、5000万も存在するかもしれません。

けど、7000万となると、5.1chのサラウンドでスピーカー6本とか使うのならまだしも2chで7000万円・・・・。

俄かには信じられない私であった。

ビル・ゲイツはあるオーディオメーカーで試聴し「自宅にあるの50万ドルのオーディオシステムより素晴らしい音だ!」と言ったんだそうです。興味のある方は、ビル・ゲイツを驚愕させた由井啓之のスピーカー作りあたりをどうぞ。なお、ビル・ゲイツのかつての盟友、西和彦もオーディオマニアでついにデジタルドメインという会社を立ち上げていたりします。

 

 ♪   ♪   ♪


調べてみよう。

1年ほど前に調べたら可能だったんですね〜。あきれ果てただがや・・・。

また、やってみましょうか。

これからは、もう貧乏人も、一般人も、さらには普通の大金持ちにも、縁の無い世界、に突入します。

念のために確認しておきますが、これは国内で誰でも買える商品です。(お金さえあれば)


 


スイスのメーカーGoldmundのモノラルパワーアンプTelos5000。
大きさは94 x 47 x 39 cm 、重さは 260 kg  さて、肝心のお値段は〜


 39,900,000円(ペア/税込)

参考サイト:ゴールドムンドファイル・ウェブ


かなりの方が世界の不条理を感じられるのではないかと思います。

399万じゃないですよ、3990万ですよ。念のため。

なお、全世界20ペアの限定生産だそうです。売り切れる前にいざGet!  って・・・・誰が?


イギリスはKEFのMuon(ミュオン)です。

サイズは W600×H2000×D380 mm、重量は115kg、お値段は1,995万円 (ペア/税込み)です。

これも世界100ペア 限定生産だそうです。

なお、デザイナーはロス・ラブグローブさんなんだそうです、といっても私デザインの世界は無知なので存じ上げませんが。



これでもう6000万弱だ。あと1000万なんか楽勝!



あとは、Phile-web製品データベースから高額製品を探しましょうか。





プリアンプ
FM ACOUSTICS FM266 MkII
¥6,825,000(税込)

さて、これで、アンプ→スピーカーまですみました。

入力は何にしましょうか?

CDだけ?
SACDも?
レコードは?

ということで悩むんですが、とりあえず、CDだけ再生できればいいやということで。

CDも高額商品になると、トランスポートと、DAC(Digital Analog Converter)とが分離したりします。
トランスポートでCDに記録されているデジタル信号を読み取り、DACでそのデジタル信号をアナログに変換する、という2段構成になります。





トランスポート
dCS
Scarlatti Transport
¥4,357,500(税込)



DAコンバーター
GOLDMUND
MIMESIS 20ME
¥5,145,000(税込)

さて、これで音の入り口から出口まで揃いました。

計¥76,177,500

やった〜目標達成!

(何て哲学の無い組み合わせだ!なんていわないでね。お高い商品を探しただけですから)


けど、これでは音は出ません。コードがなければ、配線できないからです。カッコつけてケーブルとか言いますが。
(正しくは、導線に皮膜をつけたものがコード、それをさらにカバーしたものがケーブル、だそうです。詳しくはココを。)




XLRケーブル
(画像はPhile-web製品データベースからとってきましたが、これスピーカーケーブルですね。XLRじゃない)
PAD
YEMANJA BALANCED CABLE
¥1,554,000(税込) (1m・ペア)

ここでまた一般人は絶句します。普通のオーディオ好きも絶句します。

¥1,554,000(税込)

たかがケーブルです。1mの配線材ですよ。それが150万です。

150万だせば立派なオーディオが揃います。

150万のオーディオで十分一般人から、「この人変」と思われます。

どの程度が「一般人」なのかは微妙ですが、数万円のミニコンポで「いいもの使っているね」、20〜30万で「気合入ってるな〜」ぐらいでしょうか?

100万を超えると、オーディオ好きには理解できても、一般人は引くのではないかと、これはあくまで私の想像ですが・・・。

それが、あ〜た、たかが1mのケーブル。それが150万。
パワーアンプのGoldmund Telos5000×2で3,990万より衝撃的かも。こっちは重量 260kgで重いですから、はい。

まあ、20万ぐらいのアンプを持っていると、ケーブルは1万ぐらいの使うか、と。これはそう不思議じゃないですよね。
(1万のケーブルでもぶっ飛ぶ人いらっしゃるでしょうが、アンプの20分の1です)
Goldmund Telos5000、約4000万でした。その20分の1は200万です。と考えるとこれはこれで不思議じゃない。

などと理屈で考えていっても、なんでたかがケーブルに150万円・・・・・・・。

これが、え〜っと3本で¥4,662,000。(デジタル用のケーブルとアナログ用のケーブルが同じかようというつっこみは無視します)


一般的なRCAケーブルで配線しましょうか?



PAD
YEMANJA RCA CABLE
¥1,522,500(税込)
同じ会社の同じシリーズだから値段も同じようなもの。





スピーカーケーブル
PAD
YEMANJA SPEAKER CABLE
¥3,150,000(税込)

電源コードはたぶん純正ものが付属していると思いますが、気張って購入しましょう。




NORDOST
Valhalla
¥525,000(税込)

もう電源ケーブルが50万しても驚かんですよね。

これが5本で、¥2,625,000


総計83,464,500也

う〜ん、1億いかない。残念!


あ、Phile-web製品データベースで調べたらスピーカーは



WILSON AUDIO
X-2 Alexandria Series 2
¥21,756,000(税込)

これが最高額のスピーカーでした。

入れ替えちゃえ。総額¥85,270,500。

脱線して、目指せ一億! レコードも再生するぞ!




レコードプレイヤー
CONTINUUM AUDIO LABORATORIES
Criterion Analogue Playback System
¥8,662,500(税込)

高級機にはカートリッジなんか付属していません。



MCカートリッジ
LYRA
TITAN MONO
¥630,000(税込)

MCカートリッジは出力電圧が低いので昇圧しなくっちゃ。



昇圧トランス
TECHNICAL BRAIN
TMC-Zero
¥417,900(税込)

フォノイコライザー、プリアンプについていたかなあ?



フォノイコライザー
FM ACOUSTICS
FM222MKIII
¥4,935,000(税込)

このフォノイコライザー、さすがにお高いだけあって、MCも直につなげます。(MCを直につなげられるプリアンプもあるんだけどね)

ということで昇圧トランスは省いて、と。

それにケーブルを2本と、電源コードを2本追加で、願いましては・・・・・・

¥103,656,000也

やったぜ、1億越え!


ということで、2chのステレオで、1億越えのオーディオがこの世に存在するのでありました。


 ♪   ♪   ♪


 



この本はそもそも薄型テレビの研究のために購入したのでありました。

が、今だ薄型テレビは我が家にはなく、アナログ放送終了までいまのブラウン管でもいいやという雰囲気になってしまっております。

その代わり、ステレオがとんでもないことになっているのではありますが、あくまで当社比ならぬ当人比でございまして。けどまあ一般人から見ると「あの人変」なレベルまでいっちゃいまして、恐れ入ります、です。

やっぱ、根が貧乏性の人間は、「はたして私ごときが○○万円の××なんか買っていいものだろうか」とか自問自答するわけでございますな。

いやいや私はタバコはやめないが、酒はやらぬし、グルメでもない。車も質素なパッソである。パチンコ・マージャン賭け事は一切しない。ゴルフ、スポーツクラブの類とも無縁である。服も最小限しか買わぬ。旅行といっても年に二度の家族旅行、CD買っても現在では激減している。DVDはほとんど幸町図書館とレンタルだし。他に特に贅沢しているわけでもなく・・・・・・

この「1億円のステレオが存在する」というのも、それなら自分が自分の余裕の範囲内で、多少の贅沢というか無駄遣いというか、道楽というか、一般人から「あの人変」と言われるであろうことをしてもいいのではないか、という言い訳探しでもあるわけでありました。私の総額○○○万円のオーディオセットも1億円にくらべりゃ屁のようなもん、と。


次回はオーディオ熱再発のもうひとつのきっかけとなったiTunesのお話の予定です。




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