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37 2000年1月18日

One, two, three, four, five, six, seven, all good children go to heaven...
 

私が英国ドラッドを聞き出したのは、Fairport一派からである。順当な順序であろう。

Firport ConventionからSteeleye Spanに行って、リバイバルものも多少Topic Recordsで囓ったがその程度で終わった、のも普通であろう(かな?)
その後、Albion Country Bandとかも後になると何か面白くなくなって、Pogues以降はもう興味も尽きかけ、はや何年が過ぎ去ったであろうか・・・。

と久々の音楽物ではあるのだが、何という後向きな出だしであろうか・・・。

と、いうことでクイズ。メロディーが聴けないので思い出すのが難しいであろうが、今回の表題はビートルズが歌っているのである。正しくは引用しているのである。さあ、曲名までとは言わないがアルバム名を答えよ。

正解は、この雑記の最後にある。
 

"World Library of Folk and Primitive Music Volume I Englland Compiled and Edited by Alan Lomax" (Rounder CD 1741)

と、今回紹介するCDの中の1曲の歌詞をビートルズが引用していたのである。いくらビートルズマニアが日本に溢れていようと、出典を知っている人、またその音源を持っている人は少ないのではないか?と内心自慢したりするのであるが、考えてみれば、このCDを持っている人の大部分はビートルズを聴いているはずで、かなりの割合で出典を思い出すはずである。ということはこのCDを入手した人はほぼ全員気が付いているはずで、特に自慢にもならないのであった。
(と、言っても、わたしは、「どこかで聴いたことがあるはずだ・・」と思いながらしばらく思い出せなかったのであるが・・今でも「どこかで・・・」と思っている人もいるのかなあ)

でまあ、話戻って、アラン・ロマックスである。知る人ぞ知るフィールド・レコーディングで有名なアメリカ人である。ある音楽評論家が薬師丸ひろ子の「セーラー服と機関銃」を「アラン・ロマックスが日本の高校の演劇部でフィールド・レコーディングしたような」と形容したその本人である、ところがぎっちょんちょん、このCDの音源でアランのは意外と少ないのである。

そしてそれがよかったりする。最大のディスカバリーはPhil Tannerであるが、この人の音源は1937年録音の英コロムビアのSP盤である。
 


録音当時77歳と写真通りのお年寄りなのであるが、これが渋くていいのである。

(CDの写真よりでかいが、当然である。ここ数年で最大の発見なのである。誰かこの人の曲ほかに知りませんか〜?)

 "The Wassail Song"。最初に聴いたときはこれはすぐ分かりました。Steeleye Spanが"Ten Man Mop"でカバーしていた曲でした。感動に打ち震えるっていうんですか、久しぶりのショックでした。「うわ〜うわ〜」でした。もちろんSteeleye Span 版を聞き直して、当然それなりにいいのですけど、やはり本家は違うぞ、と。

これが、Steeleye Spanの"Ten Man Mop"のジャケットですが、このアルバムも名盤です。エレキ楽器でドラムレスでトラッドやってます。

このPhil Tannerは、When Phil died, England lost her best traditional singer.と最上級の評価が与えられていました。亡くなったのはこの録音の10年後です。この人、あと2曲、短いけどすばらしい"The Gower Reel"という早口歌(ってあるんだろうか?)と、もう1曲、The Sweet Prim-E-Roses"という曲も収録されていて、これは、Fairport Conventionが"Angel Delight"で取り上げていますが、曲も歌詞も少し違います。最初はそれでとまどいましたが、この曲もやはりいいです。Phil Tannerのこの3曲だけで、私は大満足。
 

* * *


(さて、ビートルズのアルバム思い出せたでしょうかな? まだですと? ではヒントにならないようなヒント。中森明菜の曲名も含まれているアルバムである。これは有名?)
 

* * *


で、まあ他の曲のことも・・タイトルからすると「現地録音」風ですが、実際はSP盤おこしとか、BBCの音源とかもあります。他にA. L. Lloydとか、Ewan MacCollとかのリバイバル一派も入っています。で、やっぱり、リバイバル一派より、Fairport一派、特にTiger Hutchingsの方が伝統派に感覚的に近いですね、伝統一派はいい意味での「粗さ」があります。それにリズミカル。リバイバル一派はなんか「わざとらしい」というか「きまじめ」というか、聴く人をリラックスさせてくれないようなところがありますね。クラシック風というのでもないのだが精神がクラシック風でしょうか(技術第一:楽しさ第二)

まあ、Hutchings 大先生のモリスダンス物とかお好きな方にはお薦め、です。
 
 

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さて、そろそろ書くことも無くなったし(はやいな)、クイズの答えでも。

まずオリジナルの曲名は、"The Seven-Step Polka"。

ううむ、One-StepとかTwo-Stepとかいうダンスがあることは知っていたが、Seven-Stepもあるのか! しかもポルカとな!歌詞の聞き取りが載せていないので、go to heaven なのかgo to the heavenなのか分からない。文法的にはtheが必要と思うのだが聞き取れない・・ビートルズの歌詞カードにはtheが無かったからないんだろう。CDの解説には

May Day or any other holiday might end with a round dance such as this one, known throughout England.

って書いてましたからビートルズのみんなも子供の時、輪になって踊ったのでしょうか?

ということで解答。

アビー・ロード。"You never give me your money"から"Sun King"へ移るブリッジ部分で使われています。

あ、中森明菜うんぬんは、「ミ・アモーレ」が"Sun King"の中のJohnのでっち上げスペイン語の中の一節から取られているのです。知ってました?
 

ではでは、次の音楽物はいつの日か?
 
 



     


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